Vol.61_成功者の3パターン

地方都市の中小企業経営者として またコンサルタントとして 世に言う「成功者」と呼ばれる方々には結構お目にかかっている方だと思います

一言で成功者と言っても 成功に至った道筋は ほんとに千差万別

お人柄も 思わずその胸襟に飛び込みたくなるような懐の深さを感じさせてる方から うっへ〜 もうこの人と会わんでいいや と感じさせるような陰湿自己チューな方まで ほんとに色々です

しかし いずれにしても 自分の人生を賭けて勝負して成功をつかんだ方々ですから それぞれに一見の価値がある皆様だと思います(何目線?)

そんな千差万別の成功者の皆様ですが その人生の賭け方には 大きく分けるとだいたい3つのタイプがいるように思えます

1,フルベット(全賭け)タイプ

「これだ!」と思ったことに 自分のすべてを賭けるタイプ

いわゆる「かっこいい社長」や「男気社長」と言われる人が多いですね

性格も開けっぴろげで明るくて一緒にいても楽しく感じる方が多いので いつもまわりには信奉者が集まっています

2,資本家タイプ

頭がよくて 人使いがうまく お金を集めてくるのも上手なタイプ

後継社長に多いですが 仲間を募って起業し成功した人の中にもお見受けします

その力に吸い寄せられるように人が集まってきます

3,コツコツタイプ

小さな元手で始めて小さく成功 その後もコツコツと小さなリスクを積み重ねてリターンを取っていくタイプ

一業専心でその業界に確たる地位を占めていることが多いと思います

地味すぎて目立ちませんが きっちりと成果を出しており 常に一定の支持者がいます

・・・さて皆さんは どのタイプに当てはまりそうですか?

それぞれ成功されていますので どのタイプが優れていると言うことはできないと思いますが それぞれのタイプにはそれぞれのリスクもあります

1,フルベットタイプのリスク

フルベットタイプは当たればデカいんですが 実は成功の確率はそれほど高くなく 一人の成功者の足下には同じやり方に挑んで失敗した挑戦者が山ほどいたりします

彼らはすべてを賭けているので 失敗すると立ち直りの機会を得ることが難しく なかなか悲惨だったりします

そして失敗した人は多くを語りませんが 成功した人は 人から乞われて あるいは自分から成功体験を話します

しかもそのエピソードは豪快鮮烈なので 聞いた人の心に強く突き刺さります

まあそんなわけで フルベットの成功例に心惹かれた新しいフルベット挑戦者が次々と生まれ ごく少数の成功者と 多数の失敗者が生まれる というサイクルが続くわけですね

2、資本家タイプのリスク

他の人の力やお金を使うので 効率よく物事を進めていくことができます

悪く言えば自分の懐や手を使ってませんから 失敗しても立ち直りも早いですね

しかし 人のものを使う場合 往々にして力やお金を貸した人が思っているより多めにリターンを取る つまり「搾取」といわれる状態になりがちです

集まってくる人たちも 実は経営者の人柄というよりは 自分が受け取れる分け前を求めてのことですので 旗色が悪くなると皆 潮が引いたようにいなくなります

また 不思議なことですが 子供の行状が悪かったり 相続でもめるケースが多いように感じるのもこのタイプの特徴です

3,のコツコツタイプのリスク

コツコツタイプは「堅実」が持ち味ですから失敗の確率は低く 上記2タイプのような意味でのリスクは少ないと思います

面白いエピソードはそんなにありませんが 人の期待を裏切ることもないので 対人関係も無難です

そんなコツコツタイプのリスクの一つは マイナスのリスクと言いますか 「成長しない」リスクです

まあ 堅実な経営者にとって 一定の成功を収めてしまえばそれ以上の成長に魅力を感じることはないかも知れませんので  「成長しない」リスクは気にしなくても良いと言えばそうかもしれません

むしろ怖いのはもう一つのリスク 「カテゴリーキラー・陳腐化」リスクです

私が小さい頃 スーパーマーケットが町の肉屋さん、八百屋さんを駆逐しましたが そのスーパーがいま コンビニやドラッグストアに地盤の一部を脅かされています

また どんな商品・サービスにも寿命があり いずれ陳腐化して退場していきます それがいつ来るのか誰にも正確にはわかりません

まだ大丈夫と思っていても あなたが現役の経営者でいる間に「そのとき」が訪れるかも知れません

 

・・・とまぁ 結局どのタイプを選択しても 必ずメリットとリスクがあるわけですね

じゃあ経営をするにあたって一体どんな風に人生を賭けるべきか ということになるわけですが

1,フルベットタイプ を選べば 「億万長者になるか? 貧乏農場*に行くか?」ハイリスクハイリターンの「リアル人生ゲーム」

2,資本家タイプ を選べばたとえ成功しても 「搾取」していると罵られ 子供にもなぜか悪影響が

3,コツコツタイプ を選べば 成功は堅いが 陳腐化やカテゴリーキラーの襲来におびえる日々

一体どうしたらいいんでしょう??

私はここは財産形成のリスク管理と一緒で 分散投資するのが一番だと思います

ただし この3タイプを同時に使い分けるではなく(できないと思います) 時間の経過に応じてタイプを変えることでリスクを分散するのです

私だったら 経営者人生の5割は「コツコツタイプ」に賭けて地盤を築き その後 3割の人生を資本家タイプに賭けて効率よく増やし 最後の2割は新規事業にフルベット という感じでしょうか

「経営者人生の終わり頃に新規事業?」 と思うかたもおられるも知れません

でも私は「最後にお楽しみぐらいなくっちゃね」と考えているのです

皆さんだったら どんな分散投資・分散割合にしますか?

☆私だったら というのは「実際そうしてきました」というよりは カッコ悪いところをカットしてキレイにならすとこんな感じでした というお話です

実際の私の経営者人生はこの3タイプのミックスではありましたが コツコツタイプの継続を我慢しきれず フルベットでボコボコにされたり 搾取しすぎて人望を失ったり・・・

まだ時間のあるかたには こういったしくじりは避けてもらいたいものです

* 1968年9月にタカラから日本版が発売されたボードゲーム 「人生ゲーム」初期版の失敗者が進む終点 現在のものでは「開拓地」と少しソフトな表現になっています

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