【ラボ これも読んでおこう】6、倒産したときの話をしようか 関根諒介著 freee出版

経営者が聞きたくないネガティブワード No.1 「倒産」

「父さんの会社がとうとう倒産した」 

このダジャレというかなんというか・・

小さな子供だった頃に、うかつにも会社の社長をしていた父の前で披露したことがあります。

当時は知るよしもありませんでしたが 父の会社はその当時大変状態が悪く、

無邪気な子供の話とはいえ、かなり複雑な心境だったのではないかと、今は大変申し訳なく思っています。

避けては通れない話題 No.1 「倒産」

「天国へ行くのに最も有効な方法は、地獄への道を熟知することだ。」

これは「君主論」の著者マキャベリの言葉です。

正直、胃が裏返るほど考えるのがイヤな、この倒産ですが、

日経BP社の「なぜ倒産」3連作はじめ、倒産を扱った経営本はけっこうな数に上ります。

どこかゴシップ記事のように読んでしまう これまでの「倒産本」

しかしながら「なぜ倒産」などこれまでの「倒産本」は、取り上げられた会社の規模が比較的大きいことや、一部インタビューはあるものの、第三者のである記者の手によるものであるせいか、まるで興味本位で読む芸能界のゴシップ記事のように、遠い世界の話として感じてしまうのも事実です。

倒産を身近に感じることができる

しかし、このfreee出版の「倒産したときの話をしようか」は、自身も起業家である著者の関根さんと、会社を倒産させた8人の元経営者さんの対談方式でつづられています。

しかもすべての会社が創業から一時は急成長したとはいえ、あんまり大きくない(失礼)会社のお話なので、倒産という事実を大変身近に感じられる本だと思います。

やはり怖い倒産のリアル

8人が語る倒産のリアルはさまざまです。

急速な店舗拡大に人材が追いつかない、ヒット商品が単発で終わる、共同経営者とのトラブル、為替デリバティブ取引がリーマンショックで大失敗、中国での訴訟トラブルで清算、などなど・・・

しかし元経営者らが一様に語るのは、「孤独」「資金繰りの苦労」「精神的な葛藤」などの精神的な苦悩。

すべて「ホントにあった怖い話」なんだと否が応でもリアルに感じてしまいます。

失敗して分かること

「人間は失敗からしか学べない」

人生経験が豊富な方々がよくおっしゃるセリフですね。

人並み以上に失敗が多い私もそう思います。

もちろん「倒産」というヘビー級の失敗をした元経営者たちも、自らの失敗の原因を分析し、そこから多くのことを学んでいます。

そして、その学びを、次のビジネスや人生に活かしています。

失敗予防はもちろん 立ち直りノウハウも満載

もちろん失敗はなるだけしたくないのが人情。

ましてや倒産となれば、どんなに豪胆な経営者でも絶対避けたいものです。

「人の振り見て我が振り直せ」なんてことを言いますが、この本を読めばありがちな失敗を避けるノウハウはもちろん、危機に陥ったときの立ち直りノウハウを手に入れることができます。

たとえ倒産してしまっても

もちろんどんなに努力しても、運が味方してくれないこともあると思います。

そんなときでもこの本には、倒産からの立ち直り方や、周囲のサポートの重要性、心の持ち方など、再起のためのヒントが散りばめられています。

専門家の意見も知ることができる

著者の関根さんは、失敗した元経営者ばかりでなく、経産省の「再チャレンジ起業家ガイドブック」担当者や、再チャレンジに特化した投資ファンドの代表などとの対談や、コラムを通じ、第三者の意見もしっかり内容に取り込んでいて、この本をただの「失敗物語」に終わらせていません。

倒産は人生の終わりでは無い

多くの人が「倒産=人生の終わり」と考えがちですが、この本には、倒産を経験しても再起を果たした人々の姿が描かれています。

こんな人におすすめ

・起業家・経営者 :今ピンチなかたはもちろん、倒産のリスクと、そこからの立ち直り方を知りたい人に。

・起業を目指す人: 失敗への不安を乗り越え、一歩を踏み出す勇気をもらいたい人。

経営者じゃ無くても読む価値あり

困難に立ち向かうためのヒントを得たい、 人生の浮き沈みに向き合い、前向きに生きるためのヒントを得たい、すべての人にオススメできる本ですよ。