前回まで、「時空デザイン」という新しい概念について自分の思うところを書いてきました。
「時空デザイン」は資源や情報の流れを最適化し、組織や企業が目標を達成するために必要な手段を提供する「プロセスとしてのロジスティックス(つまり狭義の物流ではない)」を最適化する一連の行動のことです。
この時空デザインの成否・巧拙が企業の業績に大きな影響を与える、と沢田とエースラボのメンバーは考えております。
で、この先も時空デザインを軸に書いていこうと思ってました・・・・のですが・・・
ある方から
「時空デザインと切っても切れない関係にあるDX(デジタル・トランスフォーメーション)を軸に説明したほうがわかりやすいんじゃない?」
とのアドバイスを頂きました。
「なるほど〜、社会に多少なりとも浸透している、DXというワードを軸にしたほうが、私の言いたいことが伝わりやすいかも。」
と思いましたので、今回からしばらくエースラボ的解釈によるDXについてみなさんと一緒に考えていきたいと思います。
ところで皆さまのDXに対する解釈はどんな感じでしょうか?
もしかすると、ビジネスのあらゆる業務やサービスを最新テクノロジー化していく、というような感じだったり、はたまたSFアニメの一歩手前みたいな世界をイメージされる方もいるかも知れませんね。
まあ平均すると以下のような解釈が一般的でしょうかね。
「これまでアナログ(手作業)でやっていたことを、IT(デジタル)におきかえる」、そんなイメージですね。
確かにこの解釈で悪くないんですが、これだけではその効果は限定的なのではないかと私は思うんです。
なぜなら、この解釈には大きな落とし穴があると感じるからです。
その落とし穴とは、「デジタルに置き換えられるアナログ業務がそもそも合理的なものだったのか?」という点。
合理化(または効率化)されていないアナログ業務をデジタル化したとしても、つまりは「合理的じゃない業務をIT機器に置き換えてやるだけ」になってしまいます。
これはDX化の本質を完全に外してます。
例えるなら、ある老舗企業の会長秘書さんが、会長さんのために、新聞の切り抜きを毎朝ハサミで切って、ノートに貼って会長の机に置いておく、という業務を、同じ秘書さんが新聞の切り抜きをハサミではなく、タブレット端末のカメラで撮影し、それらをA4サイズでプリントアウトしたものを、会長に見せる。
例えが少し極端かもしれませんが、大なり小なりこれに似たような「なんちゃってDX化」が、巷に溢れているような印象があります。
つまり何が言いたいかというと、
DX化とは、「アナログをデジタルに置き換えること」でなく、「今までの業務をデジタルテクノロジーというきっかけを利用し、業務の革新を成し遂げること」。
これが文字通り「デジタル・トランスフォーメーション(革新)」の一番重要な部分であると、エースユナイテッドは考えています、ということなんです。
では、エースが考えるDX化(ここは大きく出て、エースのDXと呼称させて頂きます)を成し遂げるにおいて、大切なポイントをお伝えします。
ポイントをお伝えする際に大切なのは、このレターを読んでくださっている皆さまにとってエースのDXが何なのか? もっと直截な表現をすれば「なんの役に立つの?」というところではないかと思います。
まずその前に確認なんですが、私は企業はその大きい小さいと関係なく「成果を最大にする」ことこそが目的であり、存在理由であると考えています。
ただ言っておきたいのは、ここでいう成果は企業の売上や、利益だけを指しているのではありません。
皆さまもなぜ仕事をしているのか?という理由で「金儲け」ただ一つだけをあげる方は少ないと思います。
お客様からの感謝、社会への貢献、社員の生活、働きがい、社員同士のエンゲージメント、そういったことで得られる経営者自身の充足感。
そういった、目指す企業文化みたいなものも含めての「広い意味での成果」のことを指しています。
しかし「広い意味での成果が上がれば、売上・利益は少なくてもいい」と言いたいのでもなく、また反対に「売上・利益といった狭い意味での成果のためにそれらを我慢しましょう」と言っているのでもありません。
私が言いたいのは、
企業は「売上・利益といった狭い意味での成果」と「企業文化など大きい意味での成果」が同時に最大化に向かっていくことを目指すべきでしょう。
そのためには限られたリソース(ヒト・モノ・カネ・時間・情報)でも「成果を最大化できるDX」が必要でしょう。
そのために「エースのDX」があるんですよ・・・ということなんです(さらに大きく出た!)。
ではエースのDXが最大化したい「成果」の本質をふまえた上で、「エースのDX」を進めるための具体的な方法論についてお話を進めます。
エースのDXの進め方を一行で表しますと
「業務全体の流れを最適かつ最速にアップグレードしていくことによって、企業の成果を最大にする」
となるんですが、これでは抽象的すぎてよくわからないので、もう少し具体的に「エースのDX」をご説明します。
「エースのDX」その具体的なステップを6段階にわけるとざっとこんな感じになります。
1)業務全体の流れの見える化
2)業務の流れの課題発見と解決策の立案
3)企業文化・風土に合わせたツール(主にソフト部分)の選択
4)分解した業務にふさわしいツールを当てはめる
5)さらにアナログ部分もふくめた全体最適化
6)企業風土の変化に合わせ 日々アップデートと拡張
いわばこの6つのステップが「エースのDX勝利の方程式」となるわけなんです。
では、実際にエースのDXを依頼頂いた場合の、上記方程式の具体的な実行手順について簡単な説明をしてまいりましょうか。
1)業務全体の流れの見える化
われわれが依頼主さんへのエースのDXでまず最初に手を付けるのは、現状把握のための業務全体の流れの見える化です。
大事な点は次の2つです。
①「業務内」の各作業のやり方と手順
②「業務間」の受け渡し方法
・・・と言ってもわかりにくいと思いますので、例えば大福餅を製造販売している和菓子屋さんで考えてみますね。
「業務全体の流れの見える化」というのは、言ってみれば和菓子屋さんの作業所内で、最初はもち米、小豆、お砂糖など原材料だったものが、「蒸して、ついて、丸めて」などの一連の作業を通じて大福餅になり、お店に並べられて売られる、その一連の作業全体、つまり「業務全体」の流れを見える化するというものです。
つまり、どんなやり方と手順でお米を蒸して→どんなやり方と手順でキネでついて→どんなやり方と手順であんこを入れて丸めて→どんなやり方と手順で大福餅をお店に並べて売るのか?
この一連の作業を最初に書いたように、「業務内」の各作業のやり方と手順と、「業務間」の受け渡し方法に分けて、さらにくっきりと見える化していくわけです。
①「業務内」の各作業のやり方と手順
まず「業務内」の各作業のやり方と手順の見える化ですが、これを最初の業務である「蒸し工程」でやるとすると・・・
どんなもち米を選んで、水の量はこれくらい、水につける時間はこれくらい、それをどんな機械を使って、どのくらいの時間で蒸し上げるのか。
蒸したお米をどのくらい臼に入れて、何人でどのくらいの回数つくのか、お餅を回すタイミングは?
といったことを、作業責任者にていねいに聞き取りして調べていきます。
これを各工程に対してじっくり行うわけですが、けっこう大変な作業で、聞いていくこちらも大変ですが、聞かれる実務担当者も相当しんどいと思います。
だって当人からしたら当たり前過ぎて言葉で考えたこともない作業ですからね。
「歩くときの動作を正確に言葉にして教えてください。」って聞かれたら、それはこまりますよね?
ときおり「だからぁ そんなの見ればわかるでしょ(怒)」なんてことになりますが、ここは粘り強く聞き取りを進めていくことになります。
②「業務間」の受け渡し方法
「業務内」の見える化がひと段落したら、次は「業務間」です。
「蒸す」「つく」「丸める」といった各業務単位をつなぐ「業務間」の受け渡し方法について見える化していきます。
例えば「つく」と「丸める」の受け渡しは、箱に入れて手運びなのか、台車で運んでいるのか、同じ階に運ぶのか、はたまた2階に運ぶのか・・・
手段だけでなく、受け渡しのタイミングもとても大切です。
出来上がったお餅とあんこが次々に運ばれて、丸める作業の前にうず高く積まれているのか、「そろそろなくなるよー」の声に合わせてお餅をつき始めるのか、というような、どんなタイミングでそれぞれの作業が始まるのか、も細大もらさず、しっかり聞き取っていきます。
「業務全体の流れの見える化」というのは以上のような手順で、依頼先の皆さんから今やっている業務全体を聞き取って、文書化し見える化していくことだと思ってください。
結構手間と時間がかかる作業ですが、ここの出来不出来が、お引き受けした「エースのDX」の成果に大きく関係してくるたいせつなステップです。
さて次は、「2)業務の流れの課題発見と解決策の立案」についてお話を続けていこうと思ったのですが・・・・なんとなんと!
ここで時間と気力が尽きてしまいました。
この続きは、次号のエースレターでゆっくりとお話させていただきますので、どうぞお楽しみに! ということでまた来月!
3月もみなさまに、さらに良いことがありますように。