Vol.21_「私がいまだに紙の新聞をとり続けるわけ」

記憶に間違いがなければ、世帯を持ってからずーっと何らかの新聞を取り続けていると思います。

最初は「読◯新聞」をとってました。

記事や広告が若干おっさん臭いのが気になりましたが、特ダネが多いのと、なにより単純に記事の量が多くて読み応えがあったからです。

しかし残念なことに15年ほどたってから配達員さんの質についての問題が発生し、日経新聞に購読を切り替えることにしました。

以前日経は会社で取っていたのですが、社員から「私達は会社に来てすぐ仕事を始めているのに、社長がのんびり新聞を読んでいるとテンションが下がる」と言われ、「確かにそれもそうだ」と会社での購読を中止していたのです。

社会的にインパクトがある記事よりも経済優先なのはちょっとなあ、とは思いましたが、ほぼ中立的な淡々とした報道姿勢や、充実した経済解説には魅力を感じていました。

特に「やさしい経済教室」シリーズは全然やさしくないですが、いまだに勉強になります。

で、その後しばらくして日経新聞WEB版の有料会員になりました。

出張中や移動中にも記事が読みたいと思ったからです。

これは大変便利で、連載記事なんかを後から新聞で読もうと思ってもタイミング悪く資源回収に・・ということはなくなりました。

ちなみにWEB版の日経も紙版の日経も、コンテンツ(中身の記事)は一緒です。

だからもうWEB版だけでいいはずなんですが、私は相変わらず、紙のほうもとりつづけています。

というか、むしろ紙版が主でWEB版が従という、IT社長が聞いたら舌打ちされそうなやり方を墨守しています。

なぜかというと、日経のWEB版は印刷したらA4ヨコ3枚くらい、日経が考える重要記事やコラムの目次が集まった構造です。

なのでいわゆるトップニュースにしか目がいかなくなることが不安なのです。

「情報の価値はトップニュースにしかない」、「それをサクッとチェックできれば十分」という考え方なら不安にもならないんでしょう。

しかし私はむしろ、小さな記事や情報を組み合わせ、いろいろなことを思い起こす、コラムニストタイプだからそれが不安なのかもしれません。

例えば「国内産ホップやアボガドの需要が伸びている」、なんてことはWEBニュースサイトを見ているだけでは知る由もありません(こういうのは「商品」に載ってます)。

私はそれを元に、コロナによるおうち需要や、日本人の可処分所得の偏りについて思いを馳せるわけです。

もしかするともっと手前で、「YAHOOニュースやグーグルニュースがあるんだから、WEB版だろうが紙版だろうが、そもそも新聞なんかとる意味ないんじゃない??」と思われた方もいるかも知れません。

確かに私もYAHOOニュースやグーグルニュースも見ますし、時々それに結構な時間を費やしてしまうこともあります。

でも私はニュースはじめ情報収集の方法としてプッシュ型の無料ネットニュースに頼るのは二つの理由で良くないと思っています。

理由1:ランキングに則った記事の並びが、私のものの見方に主流派バイアス(私の造語;ものの見方の均一化です)を与える可能性があること。

ほとんどの引用型ネットニュースは、みんなが見る記事が上位に表示されるアルゴリズム(日経はじめ新聞社のサイトはその社が重要と思う順)になっています。

これはGoogleを始めとする検索サイトの基本的な考え方だからしょうがないとは思います。

しかし前述の通り「みんなが見てるから見る」という姿勢での情報収集では、新しい価値が生まれないような気がするんです。

ホリエモンさんとか落合陽一さんとかみたいに、強烈な個性や主張があってトップニュースからでも、なんらかのオピニオンが生み出せる人はそれでも良いのでしょうが、私には難しいと思います。

理由2:これらのサイトはこちらの閲覧履歴をもとに、嗜好にあわせたレコメンド記事を生成されてしまうために、いつの間にか、自分好みのニュースがあふれてくること。

たとえば暇つぶしが目的で見る私のスマホのヤフーニュースはいつの間にかゴルフ関連の記事ばかりです。

日本中の方々がゴルフにそんなに興味を示しているのでしょうか?

日本のゴルフ人口は全人口の約5%、580万人というデータがありますので、これはやはりおかしいですね。

グーグルニュースはじめ広告収入が命の引用型ニュースサイトはPV(ページビュー)を稼ぐためになかなか私を離してはくれず、私はニュースの消費者として、同じような記事を反芻するだけの牛のような存在に成り下がり、さらに私の限られた時間も浪費してしまいます。

ホンネを申し上げれば、私は空いた時間を、私の意思で、もっと自分のための無意味なことに消費したいのです。

ああ! ついに言ってしまった・・・

次回は、紙の新聞をより便利に使うコツについて考えるところを書いてみようかと思います。