「コスパ最強!」 「コスパが良い」 「コスパ高い」
いつの頃からか私たちは「コスパ」という言葉を気軽に使うようになりました。
ご存知の通り、元々は「コストパフォーマンス」という言葉を詰めたもので、本来的には「コストに対するパフォーマンスが優れている」ことを指す言葉です。
しかし、「コスパ」と言った場合は、やや本来の意味を離れ
「安くてそこそこ楽しめるもの」
に対して使われているように思います。
「コスパ」でググってみると「コスパ最強!胸肉サラダレシピ」「コスパを愛するブロガーのサイゼリヤ神メニューTOP5」「ツウが教える! 隠れコスパ「生活家電」」などなど。
記事の内容を見てみるとやはり「安い」ことがマストになっているようですね。
正直、私もコスパのいいものは大好きです。
コンビニの売り場ではカップ焼きそばをこよなく愛し、セブンのコーヒーはカップで買うのがもったいないので、粉で買ってきて自分で淹れる。コーヒーのお供はブルボンの袋菓子。
25年以上、週末の習慣になっている料理を作るときは、自分でスーパーに行き、値札と手に持った野菜とにらめっこ、同じ値段なら少しでも鮮度が高く大きいものを選ぶ。旬が来てない食材にはめったに手を出さない。
着ているものも、普段着であれ、仕事着であれ、ユニクロか、無印。
(まあ、ここはウィグル問題などを考えて見直しを進めていますが・・)
たぶん、日常生活では「コスパ重視」は良いことだと思います。
今回はもし「コスパ」を会社経営に持ち込むとどうなるかを考えてみたいと思います。
コスパを重視することは、やはり日常生活と同じようなメリットが得られるのでしょうか?
さて、コスパの「コス」は「コスト」、「パ」は「パフォーマンス」を省略したものであることは改めて説明する必要もないでしょう。
まず、「コスト」と聞いて皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?
きっと「下げたい!」「少ないほうが良い!」「なんならゼロが一番いい!」といったネガティブなイメージが強いのではないでしょうか?
しか~し! もし「売り上げはコスト」って言われたらどうします?
それでもゼロが一番いいですか??
そうなんです、実は「売り上げ」って「利益のコスト」と考えることができるんじゃないかと思うんです。
だって会社がホントに欲しいのは、売り上げじゃなくて、利益なはずですよね。
もしそう考えたら、粗利(売上総利益)や営業利益が欲しければ、一定の利益率のもと、「売り上げ」というコストをかけなければいけません。
何が言いたいかというと、一定のコストをしっかり掛けないと会社は利益が出せませんよ、ということなんです。
コストパフォーマンスを日本語にすると「費用対効果」。
経営管理上はかけたコスト(費用)とパフォーマンス(成果)の比率のことです。
つまりビジネスにおけるコストには投資の側面もあるわけです。
「投資」というのは、「持っているもの」を投げる
何年も使えるパソコンをコスト(経費)として償却するようなことももちろんですが、
もっと手前のところで、良い材料にコストをかけ、良い人材にコストをかける必要があるわけです。
そう考えると、利益を上げることが目的の会社の経営には、とにかくコストを下げていくことを楽しむ、というコスパ的な考えは合わないような気がします。
毎月振り込まれるお給料、使えば減ってしまうから、生活のために使うことを「消費」と書きます。
約束された決まった額面が減るのが嫌だから、減らないコスパは楽しいわけです。
しかし、約束されていない利益を増やすことが目的の会社にコスパを持ち込めば、いつも汲々とした経営を強いられるでしょう。
経営は消費ではなく、投資です。
減らさない「コスパ脳」ではなく、コストを掛けてしっかり回収、の「コストパフォーマンス脳」で考えたいものですね。
☆おまけ
パフォーマンス、という言葉についても「あんなのしょせんパフォーマンスだよ」的な使い方がありますが、経営者は「performance=実績」、と覚えておきましょう。
ちなみに若い方に聞いてみたら「パフォーマンス」と聞いてすぐ脳裏にダンスが浮かぶんだそうです。恐るべしEXILE!