~ちょと一休み 古代から現代まで 会計の歴史~
1.古代の会計(紀元前3000年-紀元前1200年)
古代文明では、商業や交易の始まりとともに、資産や取引の追跡が行われていました。
メソポタミアやエジプトでは、粘土板やパピルスに取引の詳細が記録され、初期の会計の形が見られました。
2.中世の会計(紀元500年-16世紀)
中世になると、商業の発展に伴い、より複雑な取引や交易が行われるようになりました。この時期には、商人や銀行家が商業取引の記録を残す必要性が高まり、簿記の原則が発展しました。
3.複式簿記の発展(15世紀-16世紀)
イタリアの商人たちが会計の手法を整備し、近代的な簿記法の基盤を築き、精密な財務報告を可能にしました。
4.産業革命と法人企業(18世紀-19世紀)
産業革命の時代になると、企業が急速に拡大し、法人としての性格を帯びるようになりました。これに伴い、会計の複雑さが増し、企業経営の透明性と誠実性の重要性が認識されるようになりました。
5.会計の国際標準化(20世紀)
20世紀に入り、国際的な取引が増加するにつれ、国際的な会計基準の必要性が高まりました。これを受けて、国際会計基準委員会(IASB)が設立され、国際会計基準(IFRS)が発行されました。
6.持続可能性会計(21世紀)
現代では、企業の社会的責任や環境への影響を考慮する持続可能性会計が注目されています。企業の持続可能性に焦点を当てた報告が、投資家やステークホルダーによって求められるようになりました。
会計の歴史は、経済や社会の変化とともに常に変遷しています。会計は経済活動の中で重要な位置を占め、その進化は企業の透明性と信頼性向上に寄与しています。
しかし、紀元前3000年からスタートしているというのは凄いですね…記録が残っていることにも驚きです。
つぎに興味深い人物が登場する歴史について掘り下げて見てみたいと思います。
複式簿記の歴史
複式簿記とは会計取引を二つの部分(借方と貸方)に分け、それぞれを記録する手法で、これを確立したのはイタリアの数学者である「ルカ・パチョーリ」です。
ルカ・パチョーリ
ルカ・パチョーリは、15世紀のイタリアの数学者、聖職者、そして初期の会計学者であり、その業績は数学と会計学の両分野にまたがります。
彼の主要な著作である「スンマ」において、彼は多くの重要な原則を提唱しました。
1.複式簿記法の確立
パチョーリの最も重要な功績の一つは、複式簿記法の確立です。
彼は商取引において借方と貸方を使い、すべての経済的な出来事をバランスさせる方法を体系化しました。これにより、企業は正確な財務状況を把握しやすくなり、会計の透明性が向上しました。
2.商取引の正確な記録
パチョーリは商取引の正確な記録方法についても重要な貢献をしました。
取引の性質や種類に基づいて適切な仕訳帳を作成し、これによって企業は複雑な経済活動を理解し、適切に管理できるようになりました。
ルカ・パチョーリは複式簿記の確立を含む数学と会計学の分野での著しい功績により、近代会計学の創始者と見なされています。
彼の業績は、会計の基本原則として今日まで受け継がれ、その影響は数世紀にわたって広がっています。しかし、イタリアの数学者が近代会計の創始者とはとても意外な事実です。
そして、このルカ・パチョーリと同時代にあのレオナルド・ダ・ヴィンチもいて交流もあったようです。
あの有名な「最後の晩餐」を描くのに参考にしていた書籍がルカ・パチョーリが書いた「スンマ」だったとか。
そして、ルカ・パチョーリ本人より遠近法を学んだとされています。偉大な二人が15世紀のイタリアで出会っていたとは、大変興味深い話です。
もうひとつ数百年の歴史のある会計のなかでも重要なポイントとなるのが19世紀に登場した「減価償却」です。
この減価償却費の登場によって、会計上の儲けは収支から離れて利益という形で計算されるようになっていったのです。
この辺のことはまた別の機会に触れたいと思います。
今回はここまで。次回もお楽しみに!
こんにちは! エースラボの布川昭文です。
普段は「出張経理課長」として、契約企業様の日々の経理処理や毎月の状態把握に欠かせない月次試算表作成のお手伝い、さらには資金繰りや、資金調達に関わる支援業務を行っております。
今回は少し路線を変更して会計の歴史について触れてみたいと思います(興味の無い方には申し訳ございません)。会計の歴史は長く、商業や財政の発展とともに進化してきました。