~キャッシュの重要性~
こんにちは! エースラボの布川昭文です。
普段は「出張経理課長」として、契約企業様の日々の経理処理や毎月の状態把握に欠かせない月次試算表作成のお手伝い、さらには資金繰りや、資金調達に関わる支援業務を行っております。
第8回、第9回でキャッシュフロー計算書について触れましたが、今回は改めて資金の大切さについて触れたいと思います。
極端な話、赤字でも資金が手元にあれば会社を継続させることができます。
一方、事業で黒字を計上していても手元資金が無くなってしまうと会社は事業を継続することが出来なくなってしまいます。いわゆる「黒字倒産」という現象です。
私も以前に所属していた企業が民事再生を申請(倒産)しましたが、本当に毎日が綱渡り状態でした。
お金が入金になった時点で、すぐに支払に充てるといった日々。毎日、払出票と振込票を持参して開店前の銀行に行き、シャッターが開くのを待って対応に追われていました。
あの時の辛かった日々の夢を未だにみることがあります…。
1.最近の倒産事情
最近の倒産事情を確認してみたところ、2024年上半期では負債額1,000万円以上の倒産企業が全国で5,000件近くあり、年間で10,000件を超えるペースで推移しているとの記事が東京商工リサーチから発表されていました。
負債額1,000万円未満の倒産数も相当数に上っており、主な要因としては、円安に伴う物価高、人手不足、ゼロゼロ融資の返済などが挙げられています。
物価高により材料代の支払ができない、人材不足で会社が稼働せずに売上が落ち込んでしまう、融資の返済期限がきても原資が手元にないので支払えないといったことが原因のようです。
2.キャッシュの重要性
企業にとってのキャッシュの重要性を以下に説明します。
- 日常業務の運営 (日々の支払いに)
- キャッシュは企業の日常生活を円滑に運営するために不可欠です。
- 給与の支払い、仕入れ代金の支払い、設備やサービスの購入など、日常的な支出にキャッシュが必要です。
- 流動性の確保 (予期せぬ出費の備えに)
- キャッシュは流動資産の中で最も即座に利用可能な形態であり、企業が緊急時に迅速に対応するためにはキャッシュの保持が重要です。
- 急な修繕費やその他の予期せぬ経費に対応するといった予期せぬ支出や、売掛金の回収の遅れといった収入の遅延に対するための安全弁となります。
- 信用力の向上 (より大きな借入が可能に)
- 十分なキャッシュを保有している企業は信用力が高まり、取引先や金融機関からの信頼を得やすくなります。これにより、より有利な条件での取引や融資が可能になります。
- 投資と成長の機会 (成長するにはカネが要る)
- キャッシュが豊富にある企業は、成長機会や投資機会に対して迅速に対応できます。
- 新しい市場への進出、設備の拡充、研究開発などの成長戦略を実行するためにはキャッシュが必要になります。
- リスク管理 (何が起こるかわからない)
- 経済環境の変動や市場の不確実性に対してキャッシュは重要なリスク管理ツールとなります。キャッシュがあれば、企業は不況や業績の悪化に対して柔軟に対応でき、生き残る確率が高まります。
- 株主価値の最大化 (株主に報いるためにも)
- キャッシュフローの健全性は企業の財政状態を反映し、株主価値の向上に寄与します。安定したキャッシュフローは、配当の支払、再投資を通じて株主価値を高めます。
3.キャッシュフロー経営
会社経営を行う上で、帳簿上の数字を追うだけでは現実のキャッシュとの違いに気が付くのが遅くなってしまう可能性があります。
キャッシュフロー経営とは、企業の財務状況を管理し、資金の流れを重視する経営手法です。
キャッシュフローとは、企業が一定期間に受け取る現金収入(キャッシュインフロー)と支払う現金支出(キャッシュアウトフロー)の差額を指します。
- キャッシュフロー計算書の作成と分析
- キャッシュフローの予測と管理
- 資金繰の最適化
- 利益とキャッシュフローの関係の理解
- キャッシュフロー経営の利点
- 実例と成功事例
キャッシュフロー経営を実践することで、企業は経営の健全性を保ちつつ、持続的な成長を目指すことができます。
次回からは以前に投稿した内容の大切な部分を再度アップしていく予定です。