〜財務体質を強くするバランスシート対策〜
こんにちは! エースラボの布川昭文と申します。
普段は「出張経理課長」として、契約企業様の日々の経理処理や毎月の状態把握に欠かせない月次試算表作成のお手伝い、さらには資金繰りや、資金調達に関わる支援業務を行っております。
「経理業務に直接タッチしない社長さんでもここだけは知っておいてほしい」
「ここを押さえておくと経営が楽になりますよ」
というところをピックアップし、なるだけわかりやすく、簡略にお伝えしていきたいと思います。
今回は「財務を強くするバランスシート対策」の「固定費の管理」「収益性の向上」についてお届けします。
固定費の管理
企業が負担する一定のコストを削減・最適化し、安定した財務基盤を築くための重要な施策になります。
固定費は売上や生産量にかかわらず一定額が発生するため、固定費が過大であれば企業収益に対する負担が大きくなり、特に収益が落ち込んだ時に財務を圧迫する要因となります。
以下、具体的な固定費の管理方法について解説します。
固定費の適正化と削減
- リース契約の見直し
- 不動産や機材のリース契約を再交渉し、費用削減や契約条件の最適化を行います。不要なリース資産を手放すことも一つの方法です。
- 人件費の適正化
- 従業員数の見直しやフレキシブルな雇用形態の導入により、雇用に関わる固定費の削減を図ります。また、スキルの高い人材を効果的に配置することで効率的な運用が可能になります。
- オフィス費用の削減
- テレワークの導入によって、オフィススペースや光熱費などの固定費を削減する企業が増えています。オフィススペースを縮小することで、家賃や設備費用も節約できます。
コスト構造の柔軟性の向上
- 変動費化の検討
- 固定費の一部を変動費に転換することで、経営状況に応じたコスト調整をしやすくします。たとえば、一部業務をアウトソーシングすることで、コストを変動させられるようにすることが可能です。
- シェアリングエコノミーの活用
- 資産の共有やレンタルサービスを利用することで、固定費をかけずに必要なリソースを確保する方法です。たとえば、スペースや設備を他社とシェアすることで、運用コストを抑えられます。
固定費管理のための定期的な分析
- 損益分岐点分析
- 固定費の額を把握し、どれくらいの売上が必要かを明確にすることで、経営判断の基準を定めます。特に収益が安定しない場合、損益分岐点を下げるための固定費削減が必要です。
- 固定費のモニタリング
- 固定費がどの程度利益に影響しているかを定期的に評価し、業績に応じて調整します。予算を設定し、計画的に固定費を管理することも有効です。
長期的視点での固定費戦略
- 固定費削減を短期的に追求するだけでなく、企業の成長と競争力を維持するための投資も視野に入れることが重要です。
- デジタル化や自動化による長期的なコスト削減や効率化を実現することで、固定費削減を図りつつ、企業価値の向上を目指せます。
続いて、「収益性の向上」について触れたいと思います。
収益性の向上
1.コスト管理と効率化
- 固定費と変動費の見直し
- 経費を削減するために、固定費(家賃や設備費など)や変動費(材料費、人件費など)を定期的に見直し、無駄を減らします。
- 業務の自動化・効率化
- 作業プロセスや情報処理の自動化により、人的コストを削減し効率を高めます。
2.売上の拡大
- 既存顧客の維持とアップセル・クロスセル
- 顧客満足度を高め、アップセル※1やクロスセル※2を行います。
※1 アップセル:顧客が購入を検討している商品よりも上位の、より高価格な商品や サービスを提案する手法
※2 クロスセル:顧客が購入している商品やサービスに関連する追加の商品を提案する 手法
- 顧客満足度を高め、アップセル※1やクロスセル※2を行います。
- 新規顧客の獲得
- ターゲット顧客層を明確にし、マーケティング戦略を効果的に実施します。SNSや広告、口コミを活用するのも効果的です。
3.商品やサービスの差別化
- 独自価値の提供
- 競合と異なる強みを明確にして、価格競争に巻き込まれないようにします。ブランド価値や独自のサービス体験を提供することで、価格以上の価値を提供できます。
- 高付加価値商品の開発
- 既存の商品・サービスに付加価値をつけ、高単価商品として販売できるようにします。
4.顧客分析とニーズ把握
- 顧客データの分析
- 顧客データから購買パターンやニーズを把握し、効果的なマーケティングや商品改善に活用します。
- 顧客フィードバックの収集
- 定期的に顧客の意見を収集し、改善点や新たな機会を見つけます。
5.在庫管理とサプライチェーンの最適化
- 在庫回転率の向上
- 在庫が長期間滞留しないように、適正な在庫水準を保ちます。売れ筋商品や季節商品の適正な在庫量を確保することで、無駄な在庫コストを抑えられます。
※在庫回転率:企業が保有する在庫がどの程度の頻度で販売され、補充されているかを示す指標。
在庫が効率よく回転しているかを把握し、在庫管理や販売効率を向上させるために用いられる。具体的には、在庫回転率が高いほど、在庫の滞留が少なく効率的に商品が販売されていることを意味する。逆に低い場合は、在庫が滞留している可能性が高く、コスト負担が増える原因となることがあります。
在庫回転率の目安としては、小売業で20回転、製造業で5~10回程度。
- 在庫が長期間滞留しないように、適正な在庫水準を保ちます。売れ筋商品や季節商品の適正な在庫量を確保することで、無駄な在庫コストを抑えられます。
- 仕入れコストの見直し
- 仕入れ先を定期的に見直し、価格交渉や仕入れ先の変更を検討することで、コストを最適化します。
6.データドリブン※3の意思決定
※3 データドリブンとは:データに基づいて意思決定を行う手法や考え方。
従来の経験や勘に頼る意思決定とは異なり、データを収集・分析し、客観的な根拠に基づいて判断することで、リスクを最小限に抑え、精度の高い決定を行うことを目指す。
- KPI(主要業績評価指標)の設定
- 売上やコスト、顧客満足度などをKPIとして設定し、定期的に成果を評価します。
- データ分析の活用
- 売上や経費のデータを分析し、意思決定の際に数値的な根拠を持つことで、戦略の効果を最大化します。
しかし、月日の経つのは早いですね。
この前、箱根駅伝を見ていたなぁと思ってましたが、来月で2024年も終わり…。
もうそろそろ新年度の予算策定にとりかからないとならない時期になってきました。
次回は今年最後になりますので、通常とは違った投稿を考えております。
お楽しみに!