ウチの成績 どうやってヨソと比較したらいいの? キャッシュフロー計算書編
こんにちは! エースラボの布川昭文です。
普段は「出張経理課長」として、契約企業様の日々の経理処理や毎月の状態把握に欠かせない月次試算表作成のお手伝い、さらには資金繰りや、資金調達に関わる支援業務を行っております。
これまでの経験をもとに数回にわたり、
「経理業務に直接タッチしない社長さんでもここだけは知っておいてほしい」
「ここを押さえておくと経営が楽になりますよ」
というところをピックアップし、なるだけわかりやすく、簡略にお伝えしていきたいと思います。
今回も前回に引き続き「キャッシュフロー計算書」に触れていきたいと思います。
前回は、キャッシュフロー計算書の生まれた背景、会社の「現金の受入と支出」を明らかにする財務報告書の一つであること及び「営業活動によるキャッシュフロー」、「投資活動によるキャッシュフロー」、「財務活動によるキャッシュフロー」の3つで構成されていることについて触れました。今回は、この3つから読み取れる8つのパターンについて触れてみたいと思います。
①営業CFプラス、投資CFプラス、財務CFプラスのケース
営業CF、投資CF、財務CFともにプラスの状態で、将来に向けてお金を貯めている場合に考えられるケースです。
②営業CFプラス、投資CFプラス、財務CFマイナスのケース
営業CFと投資CFで生み出されたキャッシュを借入金返済に充当しているケースです。
③営業CFプラス、投資CFマイナス、財務CFプラスのケース
銀行から資金調達をして、積極的に設備投資している、投資の盛んな成長企業といえます。
④営業CFプラス、投資CFマイナス、財務CFマイナスのケース
本業で充分に稼いでおり、新規設備投資及び借入金返済に充当している堅実経営の優良企業のケースです。
⑤営業CFマイナス、投資CFプラス、財務CFプラスのケース
本業が赤字状態で、資産売却と借入金で賄っている状況です。銀行の対応次第では苦境に陥る可能性があります。
⑥営業CFマイナス、投資CFプラス、財務CFマイナスのケース
本業が赤字状態。資産売却によって借入金の返済を進めている状態です。本業の黒字化が急務です。
⑦営業CFマイナス、投資CFマイナス、財務CFプラスのケース
本業が赤字ではあるものの、借入金によって設備投資を行っている状況です。⑤同様に銀行の対応次第では苦境に陥る可能性があります。
⑧営業CFマイナス、投資CFマイナス、財務CFマイナスのケース
本業が赤字で、設備投資も実行して借入金も返済している状況です。あまり見られないケースではあります。
上記8つのうちの理想はどれかお判りになりましたでしょうか?
企業が目指す健全型のキャッシュフローは④になります。
生み出された営業CFで新たな投資を行い、かつ借入金の返済も行っていくパターンになります。
パターン③についても積極的に投資を実行して会社を大きくしていく姿勢が見て取れます。
一方、パターン⑤になるとキャッシュが生み出されていない状況で借入金に頼った投資を行っているので、一歩間違えるととても危険な状況に陥ってしまいます。
以上8パターンを見て頂きましたが、営業CFがプラスになっていなければ企業活動を行う上では非常に厳しいということがお判り頂けたかと思います。
営業キャッシュフローを生み出せていない状態では、新たな投資等を行うにしても既存資産の売却や借入に頼って資金調達を行わなければなりません。
営業CFがマイナスの状況とは企業活動をしながら資金が流出している状況を指します。繰り返しになりますが、企業活動を行うに当たってはキャッシュは利益よりも重要です。
今回はここまで。次回をお楽しみに!
まず、「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」のそれぞれにプラスとマイナスが存在しています。これらの組み合わせから8つのパターンに分けることができます。
皆さんは、全てのキャッシュフローがプラス状態が理想なのでは?と思うでしょうが、一部がマイナスでも理想のパターンはあります。それぞれについて、詳しく見ていきたいと思います。